

ロマンス詐欺の返金方法について、弁護士の立ち位置からトライアンフ法律事務所が解説していきます。
SNSやマッチングアプリを利用して行われるロマンス詐欺。
ロマンス詐欺の被害は金銭面だけでなく、
など、恋心につけこみ心にも大きな傷を与える悪質な詐欺です。
このページをご覧になっている方の中には、ロマンス詐欺の被害に遭ってしまい返金方法を模索してる方もいらっしゃるかもしれません。
ロマンス詐欺被害の返金解決は、被害状況によって異なりますが、返金請求が困難になるケースが非常に多くなっています。
そこでこの記事では、
について解説していきます。
ロマンス詐欺とは、相手に甘い言葉や愛の言葉をささやき恋人や結婚相手になったかのようにふるまい、金銭を送金させる特殊詐欺の一種です。
運営者側がサクラを使って利用者に有料ポイントを買わせる出会い系詐欺とは違い、海外に居住する詐欺師・詐欺業者が大手マッチングアプリやSNSを使ってお金を騙し取る詐欺です。
それでは、どのようにして相手からお金をだまし取るのか見ていきましょう。
ロマンス詐欺を行う詐欺師は、大手マッチングアプリや、FacebookやInstagramなどのSNSにアカウントを作り、ターゲットとする異性に対して親交を深めようとするメッセージを送ります。
外国語を習いたい日本人が利用する言語学習アプリなどでも、ロマンス詐欺師が外国語講師に扮することも。
その他にも、迷惑メール(スパムメール)などを通じてターゲットを見つけたり、あらゆる方法でロマンス詐欺を仕掛けようとしてきます。
近年では大手マッチングアプリのペアーズ(Pairs)やTinder経由でのロマンス詐欺被害も確認されているようです。
サクラサイト詐欺のように明らかに怪しいサイト経由ではなく、身近なSNSや大手マッチングアプリなどでも被害が発生しやすいため、見知らぬ外国人からメッセージが届いたら注意が必要です。
ロマンス詐欺師がターゲットとやりとりを開始したら、すぐさまLINEをはじめとする外部アプリへ誘導してきます。
ロマンス詐欺は、すぐさまLINEの交換を要求してきて、そこから積極的に連絡をとり積極的にアピールするという手口が多く見受けられます。
ロマンス詐欺師は、ターゲットとなる相手とメッセージのやり取りを開始したらすぐに、積極的に求愛をしてきます。
ロマンス詐欺によくある手口は、結婚をほのめかすことです。
結婚を持ち出すのは「婚約者=裏切らない」と信じ込む心を悪用し、お金をだまし取りやすくするためです。
やり取りを通じて仲を深めたと思っても、金銭を要求された時点でおかしいと思った方がよいでしょう。
また、最初は少額を請求して受け取ってから、徐々に大金を請求するのも国際ロマンス詐欺の手口です。
相手をより信頼させるため、立て替えたお金が数日後に帰ってくるパターンもありますが、次に大金が必要な話が持ち出される可能性は大いにありますので注意が必要です。
ロマンス詐欺における送金方法は様々です。
もちろん上記以外の方法で送金させることもあるので、注意が必要です。
ロマンス詐欺の結末は「連絡が取れなくなる」です。
ロマンス詐欺師はお金を奪い取った途端、SNSをブロックされたりアプリを退会したりします。
外国人に騙されても、基本的に共通の知り合いなどもいないので探し出すことは困難です。
ロマンス詐欺は、女性の被害が多いと思われる方も多いのではないでしょうか。
実は、女性だけでなく男性の被害も増加傾向にあるのです。
女性の被害者の場合、結婚するための渡航費や贈り物にかかる関税などの名目で金銭を要求されることが多い傾向にあります。
男性の被害者の場合、これらの手口には引っかからない傾向にあったのですが、相手(詐欺師)に恋心を抱きつつギャンブルや投資を持ち掛けられると簡単にだまされてしまう傾向があるようです。
そこで、男女別でみるロマンス詐欺の被害事例について解説していきます。
被害に遭った男性Aさんは、マッチングアプリを通じてジェリーという女性のアカウントと知り合いました。
すぐにLINEを交換しやり取りを進める中で、「あなたのことが好き」「将来2人で一緒に暮らしたいからオンラインカジノで儲けてそれを原資にしよう」と持ち掛けられ、ビットコインを送金するよう指示を出されました。
写真で見るジェリーはとても美しく、すぐに心を奪われてしまったAさんは将来のためならと思い、ジェリーの指示通りにビットコインを送りました。
ですがオンラインカジノに何度送金しても勝つことができず、気が付いたら貯金も底をつき、かなりの額を送金していました。
ジェリーは詐欺師かもしれない……。と怪しんでいた時に、オンラインカジノのプロフェッショナルであるというナンシーが登場。
ナンシーの言う通りにすれば勝つことができる、というジェリーの言葉を信じてしまい、最後の賭けだと思い消費者金融にお金を借り、送金。
もちろんそれでも勝つことはできず、ジェリーにもナンシーにも会うことができないことからやっぱりおかしいと思ったAさんは、騙されたことに気が付き問い詰めたら音信不通に。
すでに数千万円もの金額をビットコインで送金していました。
各所に相談するも、ビットコインでの送金は法定通貨の振込よりも流れが追いにくく、送金先の個人情報開示が困難なため返金請求は難しいと断られてしまい、結局泣き寝入りに。
ここまでお金をかけたのにここでやめるのはもったいない、もしかしたら一発逆転があるかもしれないなどの男性心を利用した悪質な手口です。
被害に遭ったB子さんは、マッチングアプリを通じてジャックという男性と知り合いました。
やりとりを開始してからすぐにジャックから「あなたに恋をしてしまった」「これは運命かもしれない」と甘い言葉をささやかれるようになりました。
最初は本気にしていなかったものの、その積極的なアプローチから、気が付いたらジャックのことを好きになってしまいました。
ジャックから「結婚したい。婚約指輪を送ったから受け取ってほしい」と言われたあと「婚約指輪が関税に止められてしまった。僕は今出張でトルコにいて支払いができない。必ず返すから立て替えてほしい」と言われ7000ドル(約95万円)を支払いました。
その後も、日本で暮らすための資金を貸してほしいなどと言われて、支払いを繰り返すうちに気付けば数百万円にのぼる金額を送金してしまったとのことです。
おかしいと思いジャックを問い詰めたところ、連絡が取れなくなり被害に気が付いたそうです。
B子さんは金銭を失ったショック以上に、大好きな人に騙されていたという大きな心の傷を抱えてしまいました。
ロマンス詐欺の被害は、金銭面だけでなく大好きな人が困っているから助けてあげたいという心理を悪用した、極めて悪質な詐欺手口です。
基本的にロマンス詐欺師は、ルックスが良く高収入など、華やかなプロフィールであることが特徴です。
ロマンス詐欺といえば、白人になりすケースが多かったのですが、近年ではアジア人になりすますケースがかなり増加しています。
日本で高まる韓国ブームにあやかり韓国人を装い金銭をだまし取るケースや、富裕層が多くビットコインの利用が一般的なシンガポール人を装い仮想通貨をだまし取るケースなど、手口は多様化してきています。
プロフィールだけを見たら興味を持ってしまうようルックスや肩書を持っていることが多いため、ついつい連絡を取りたくなってしまうかもしれませんが、完璧すぎるプロフィールの外国人がいたら、詐欺師かもしれないと思った方が良いでしょう。
ロマンス詐欺師は、ターゲットに恋心を抱かせて金銭を要求することが目的です。
ロマンス詐欺師の見分け方を知ることが被害防止につながるので、詳しく解説していきます。
詐欺師はできるだけ早くお金をだまし取りたいため、知り合ってすぐに熱烈にアプローチして関係を進展させようとします。
返事が早くてマメだったり、優しい言葉や甘い言葉を囁かれると、本物の愛だと信じたくなってしまう気持ちも理解できます。
ですが、ロマンス詐欺に限らず相手のことを良く知らないうちに結婚をしたがったりお金を要求したりする人物は、詐欺師を疑った方がよいかもしれません。
ロマンス詐欺では、架空の人物になりきっているため、もちろん実際に会うことはできません。会う約束ができたとしても、当日に突然仕事や急用を理由にキャンセルすることも常套手段です。
電話やビデオ通話もできない傾向にあったのですが、近年ではディープフェイクというAI技術を使った、合成動画によるビデオ通話を用いるケースが増えてきたようです。
ビデオ通話で話したことがあったとしても、偽物の可能性は十分高いので注意が必要です。
ロマンス詐欺師最大の目的は、金銭をだまし取ることです。
ロマンス詐欺師は身の上の不幸話を語り同情を誘ったり、トラブルに巻き込まれたことを理由に金銭援助を依頼したり、手口は様々です。
そもそも、会ったことがない、会うことができないにも関わらず恋人関係・婚約関係になること自体がまず不自然です。
にもかかわらず、お金を要求されたらそれは間違いなくロマンス詐欺でしょう。
ロマンス詐欺被害の返金解決は、被害状況によって異なりますが、返金請求が困難になるケースが非常に多くなっています。
なぜなら、国内の被害であっても詐欺師や詐欺業者の特定が困難なケースもあるうえ、外国となるとなおさら特定が困難になるからです。
また、ロマンス詐欺では仮想通貨や海外口座へ送金が行われることもあります。そうなると、さらに返金は困難になると考えられます。
仮想通貨や海外口座を通じての送金は、国内の銀行口座振り込みよりも流れが追いにくく、送金先の個人情報開示が困難だからです。
大好きな人が困っていると、どうしても助けたくなってしまう気持ちもわかります。ですが、一度送金してしまうと大切なお金は二度と戻ってこないかもしれません。
被害を未然に防ぐためにも、送金する前に勇気を出して家族や友人に相談することをおすすめします。
先ほども申し上げた通り、ロマンス詐欺被害では返金請求が困難になるケースが非常に多くなっています。
被害に遭ってしまった場合どうしたらいいのか不安になりますよね。
そこで、被害に遭ってしまった場合の相談先についてお伝えします。
被害に遭った場合、警察に被害届を提出するという手段があります。
ですが、証拠が少ないケースが多いため対応が難しいということがあります。
また、警察には「民事不介入の原則」があるため、返金のために警察が動くことができないのです。
あくまで警察が捜査する目的は犯人逮捕。万が一検挙された場合でも、その詐欺師に賠償能力がなければ返金は事実上困難です。
被害に気が付いた、被害に遭ったかもしれない、と思った場合にはまず国民生活センターへ相談しましょう。
03-3446-1623(平日:10~12時、13~16時)
国民生活センターに相談することで返金解決はしませんが、今後の対応や適切な対応についてアドバイスをもらえるかもしれません。
まずは国民生活センターへ連絡してみるとよいでしょう。
ロマンス詐欺被害での返金はほぼ不可能であるにもかかわらず「ロマンス詐欺被害の返金ができる」とうたう広告や、探偵や返金センターを名乗って着手金をだまし取る目的の悪徳業者が存在しているのです。
弁護士なら安心だろう!と思う方もいるかもしれません。ですが、高額な着手金を請求しながらも返金解決に至らない「弁護士による二次被害」も報告されています。
詐欺被害解決に向け、助けを求めた先でもさらに詐欺被害に遭ってしまうなんてことにならないよう、ロマンス詐欺被害の返金での相談・依頼を検討している際は十分注意してください。
ロマンス詐欺は、恋心を利用した悪質な詐欺です。
被害者は金銭面だけでなく大好きな人に裏切られたという大きな心の傷まで抱えることになります。
そんな被害者の方の気持ちを思うと、返金解決の可能性があればよいのですが、返金が困難なケースが多いというなんとも心苦しい被害なのです。
またそんな被害者にさらに追い打ちをかけるかのように、返金解決できないにもかかわらず返金できるとうたった悪徳業者や高額な着手金をだまし取る弁護士による二次被害が存在していることも事実。
当弁護士事務所としての願いは、これ以上ロマンス詐欺被害に遭う方が一人でも減ることです。
この記事を通してロマンス詐欺の手口や人物像などを把握し、今被害に遭っている方がこれ以上被害を大きくしないこと、被害に遭いそうな方が騙されたことに気付けること、一人でも多く踏みとどまることができることを願っております。