
ある日突然スマホが使えなくなり、不正送金の被害に遭ってしまうSIMスワップをご存じですか?
勝手にSIMカードを複製されて、スマホを乗っ取られるSIMスワップの詐欺被害が急増しています。
SIMスワップは、被害者が気が付かない間に、銀行口座から不正送金されたり、キャリア決済を不正利用されたりするなど、非常に大きな被害を引き起こします。
そこでこの記事では、SIMスワップの手口や対策、被害に遭った場合の補償制度などについて、弁護士の立ち位置から解説します。
目次
SIMスワップの手口とは
SIMスワップとは、サイバー犯罪者が他者のSIMカードを不正に複製・利用することです。
ではいったい、SIMスワップはどのような手口で行われているのでしょうか。
そこで、SIMスワップの手口を3つのパートに分けて、ご紹介します。
- サイバー攻撃で個人情報を入手する
- SIMカードを勝手に再発行する
- 不正送金する
1.サイバー攻撃で個人情報を入手する
まず初めに、フィッシング詐欺などでサイバー攻撃を仕掛け、ターゲットの住所氏名などの個人情報を入手します。
本人に成りすますために、不正に入手した個人情報から被害者名義の運転免許証を偽造するなどします。
2.SIMカードを勝手に再発行する
偽造した運転免許証を使用して、被害者本人になりすまし、携帯ショップでSIMカードを再発行します。
犯人は自分の携帯電話で被害者の電話番号やSMSが自由に使える状態になり、被害者が使っているSIMカードは解約扱いになります。
3.不正送金する
複製したSIMカードで、不正送金や不正利用をします。
SIMカードの複製を手に入れた犯人は、SIMカードを端末に挿入するだけで、被害者の通話記録やメッセージ履歴、アカウント情報やクレジットカード情報など、被害者の個人情報の全てが手に入ります。
そのため、銀行アプリから不正送金の被害や、携帯電話会社のキャリア決済を不正利用されるなどの被害が発生することが考えられます。
SIMスワップの被害事例
ではここで、SIMスワップの被害に遭った男性の事例をご紹介します。
兵庫県に住む男性(61)は、2022年、SIMスワップの被害に遭い、1000万円を不正に奪われてしまいました。
ある日、知人に電話をかけようとしたら繋がらず、携帯を確認したらアンテナが立っていなかったため、故障だと思い携帯電話ショップへ行きました。
すると、店員から「解約になっている」と告げられました。
その後、犯人は乗っ取った被害者男性のスマートフォンを使い、銀行のアプリを経由して計1000万円を不正送金されてしまいました。
銀行側も、高額な金が一度に引き出されたことから、本人確認のため被害者男性あてに連絡をしましたが、確認される相手はもちろん犯人であったため、不正送金を止めることはできなかったということです。
SIMスワップから身を守るための対策
SIMスワップの被害に遭わないためには、個人情報の流出を防ぐことがなにより大切です。
そこで、SIMスワップから身を守るための対策をご紹介します。
フィッシング詐欺に注意する
SIMスワップは、フィッシング詐欺で個人情報を盗み取られるところから始まります。
そのため、フィッシング詐欺には十分注意が必要です。
また、フィッシング詐欺被害に遭わないためには、メールやSMS内のURLリンクをクリックしないこと、安易に個人情報を入力しないことが大切です。
フィッシング詐欺の手口や対策は、こちらのフィッシング詐欺の返金方法を弁護士が解説とスミッシングって何?被害に遭わないための対策を弁護士が徹底解説!の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご参照ください。
通信が途絶えていないか確認する
SIMカードの複製に気が付く簡単な方法は、携帯電話の通信が途絶えていないか確認することです。
携帯電話の通信が途絶えていた場合は、直ちに携帯電話会社やご利用の銀行、クレジットカード会社などに連絡し、SIMの無効化や不正利用を防ぐ手続きをとることが大切です。
SIMスワップの被害は補償対象になる?
SIMスワップの被害は、補償対象になるのか?という質問が多く寄せられていたので、お答えしたいと思います。
結論からお伝えしますと、被害内容によって補償される場合とされない場合があると考えられます。
では、それぞれ詳しく解説していきます。
- クレジットカードを不正利用された場合
- キャリア決済を不正利用された場合
- 銀行口座から不正送金された場合
クレジットカードを不正利用された場合の補償
SIMスワップの被害により、クレジットカードを不正利用された場合は、補償を受けられる可能性があります。
補償対象や補償内容は、各クレジットカード会社によって異なるため、ご利用のカード会社へご確認ください。
キャリア決済を不正利用された場合の補償
SIMスワップの被害により、キャリア決済を不正利用された場合は、補償を受けられる可能性があります。
各携帯電話会社により、補償内容は異なりますので、ご利用の携帯電話会社へご確認ください。
銀行口座から不正利用された場合の補償
SIMスワップの被害により、銀行口座から不正送金された場合は、補償を受けられる可能性があります。
しかし、被害に遭った方に「重大な過失」または「過失」が認められた場合、補償対象外となります。
各金融機関により、補償対象や補償内容は異なりますので、ご利用の金融機関へご確認ください。
SIMスワップの被害は警察へ相談!
SIMスワップの被害に遭ったら、速やかに警察へ相談し、被害届を提出しましょう。
SIMスワップで奪われてしまったお金は、返金請求をすることが非常に困難であることが考えられます。
そのため、まずは警察へ被害届を提出し、犯人を捕まえてもらうことが大切です。
犯人に返済能力があると認められれば、犯人から返金を受けることができる場合もありますので、被害に気が付いたら速やかに警察へ行くことをおすすめします。
SIMスワップには要注意!
SIMスワップは、生活に必要不可欠なスマホが突然使えなくなるだけでなく、詐欺被害にも遭ってしまうという非常に悪質な詐欺手口です。
SIMスワップの被害に遭わないためには、個人情報の管理が何より大切です。
SIMスワップ被害のきっかけはフィッシング詐欺であることが多いため、フィッシング詐欺には十分ご注意ください。
当事務所としての願いは、フィッシング詐欺を始めSIMスワップ被害が撲滅することです。
フィッシング詐欺の手口や最新事例などは、こちらフィッシング詐欺の返金方法を弁護士が解説とスミッシングって何?被害に遭わないための対策を弁護士が徹底解説!の記事をあわせてご参照いただけますと幸いです。