

インターネット通販は、自宅にいながら手軽に買い物ができるため非常に便利です。
ですが一方で、「商品が届かない」「偽物が届いた」といったネット通販に関するトラブルが急増しています。
そこでこの記事では、ネット通販詐欺の手口や、ネット通販詐欺の被害における返金請求の可否について、トライアンフ法律事務所が弁護士の立ち位置から解説します。
ネット通販詐欺では、
という被害が発生しています。
商品に関する問い合わせをしようと連絡を取ろうとしても繋がらない、サイトごと消えていた、など結果的にお金だけ騙し取られてしまうというケースが数多く確認されています。
インターネット通販を利用する際は、特に注意が必要な状況になっています。
次項では、急増しているネット通販詐欺被害の内訳をご紹介します。
国民生活センターによると、2022年度におけるインターネット通販の「偽サイト」に関する相談件数は11,019件でした。
2021年度の相談件数は5,941件だったことから、前年度に比べて約2倍にも増えていることが分かります。
出典:国民生活センター
偽サイトに関する相談件数が急増した背景には、本物のサイトと見比べても違いが分からないほど巧妙な偽サイトが増えたことが一因と考えられます。
今後も、ネット通販詐欺の手口は巧妙化していくことが考えられるため、注意が必要です。
そこで次項では、ネット通販詐欺で良くみられる手口をご紹介します。
ネット通販詐欺の手口は大きく分けて2つあります。
では、それぞれ解説していきます。
実在する通販サイトにそっくりの偽サイトで、商品購入代金を騙し取る手口です。
見比べても違いが分からないほど巧妙に作られていますが、販売価格やURLを確認すると見分けられる場合があります。
また、Googleなどの検索エンジンの検索結果で上位に表示されていたサイトが、本物そっくりの偽サイトだったという事例が確認されています。
そのため、「検索結果で上位に表示されている=公式サイト」ではありませんので、くれぐれもご注意ください。
また、本物そっくりの偽サイトで騙す手口はフィッシング詐欺でもよく見られるため、あわせてご注意ください。
商品画像などを別のサイトから盗用して出品を装う偽サイトで、現金を詐取する手口です。
お金を支払ったにもかかわらず商品が届かず、販売元とは連絡がつかないケースが発生しています。
また、他のサイトでは売り切れてしまっている人気商品の販売を偽り、お金を騙し取る事例も確認されています。
手に入らない人気商品の在庫があるサイトや、人気商品にもかかわらず安く販売されているサイトなどは詐欺の可能性が高いため、くれぐれもご注意ください。
ネット通販詐欺サイトを働く偽サイト・詐欺サイトには特徴があります。
出典:消費者庁
そこで、偽サイト・詐欺サイトの特徴7つをご紹介します。
実在する企業や公的機関などの偽サイトの場合、公式サイトURLによく似たURLに設定されていることが多いです。
ですがよく見ると、iがlになっていたり、aがoになっていたりなど、必ず不自然な点が見つかります。
検索エンジンで上位に表示された公式サイトと思われるページでも、URLに不自然な点はないか確認するとよいでしょう。
また、通販サイトなどを装った詐欺サイトの場合、URLでは判別つかない場合があります。
そのため、下記でご紹介する特徴とあわせて確認してください。
偽サイトや詐欺サイトでは、不自然な日本語や普段使わない漢字表記が使われていることが多いです。
そのため不自然な日本語が見られた場合は、偽サイト・詐欺サイトであると考えられるため、利用しない方が安全といえるでしょう。
ネット通販詐欺では、定価より極端に安い価格で販売されているケースがほとんとです。
ネット通販を利用する際は価格が一番安いところで購入したいという消費者の気持ちを悪用し、相場より遥かに安い価格に設定されています。
他サイトに比べて大幅に割引されている場合は、ネット通販詐欺の被害に遭う可能性があるため、注意が必要です。
支払い方法が銀行振り込みしか選択できない場合は、ネット通販詐欺であると考えられます。
なぜなら偽サイトや詐欺サイトでは、お金を騙し取ることが目的であるため、銀行振込しか受け付けないからです。
ですが、サイト上では銀行振込・クレジットカード・代金引換などが可能と記載しながらも、注文時には銀行振込しか選択できないようになっているサイトもあります。
また、クレジットカード情報を盗み取る目的のサイトの場合、クレジットカードの利用が可能となっているサイトもあるため、くれぐれもご注意ください。
ネット通販を利用した際、入金先が個人口座の場合は詐欺であると考えられます。
ネット通販を運営している会社名と入金先口座の名義が違う場合も同様です。
なぜなら、ネット通販詐欺を働く詐欺業者は法人口座を開設することができないからです。
ネット通販を利用した際、入金先が個人名義や外国人名義、運営会社と違う名義だった場合は詐欺だと考えられるため、くれぐれもご注意ください。
会社概要や電話番号、メールアドレスなどが記載されていない場合は、詐欺業者が運営しているサイトの可能性が高いと考えられます。
また、連絡先が携帯電話番号の場合や、メールアドレスが会社名と違うドメイン、不自然なメールアドレスの場合も注意が必要です。
ネット通販詐欺サイトに記載されている連絡先は、連絡をしてもやり取りできない場合がほとんどです。
また、最後まで記載されていない住所が掲載されている場合も、ネット通販詐欺であると考えられるため、くれぐれもご注意ください。
特定商取引法により、事業者は運営会社名や店舗運営責任者などの特定商取引に基づく表記をECサイトに記載することが求められています。
そのため、特定商取引に基づく表記などが掲載されていない場合はネット通販詐欺サイトであることが考えられるため、くれぐれもご注意ください。
当弁護士事務所に「ネット通販詐欺の被害に遭った場合、返金請求をすることはできるのか?」というご相談を受けたことがあります。
結論からお伝えしますと、返金を受けられる可能性は非常に低いと考えられます。
ですが、可能性が0というわけではありません。
次項では、被害金の返金を望める可能性がある対処法をご紹介します。
ネット通販詐欺の被害に遭った場合、クレジットカード会社によるチャージバックを受けられる場合があります。
チャージバックとは、クレジットカード会社が代金の売り上げを取り消すことです。
各クレジットカード会社の規定により異なるため、ご利用のカード会社までお問い合わせください。
2007年に制定された振り込め詐欺救済法により、被害金の返金が叶う可能性があります。
そのため、振り込め詐欺の被害に遭ってしまった際は、速やかに警察へ相談するようにしてください。
この記事では、ネット通販詐欺の手口や特徴、返金請求の可否について解説しました。
ネット通販詐欺の手口は巧妙化しているため、常に警戒することが大切です。
インターネット通販を利用する際は、
これらを確認するだけで、ネット通販詐欺の被害に遭う可能性をグッと減らすことができます。
ネット通販詐欺の被害は返金を受けられる可能性が非常に低いため、事前に手口や特徴を知っておくことがとても大切です。
被害に気が付いたら、速やかに警察や国民生活センターに相談することをおすすめします。
当弁護士事務所としての願いは、ネット詐欺の被害に遭う方が一人でも多く減ることです。
この記事を通してネット通販詐欺の手口や特徴などを把握し、被害に遭う可能性を減らせることを願っています。