
パソコンやスマホでサイトを見ていた時、突然お金を請求されるような画面が出てきたことはありませんか?
このような手口をワンクリック詐欺といい、若い世代を中心に、被害が後を絶ちません。
実は、ワンクリック詐欺に引っかかってしまった場合の最善策は「無視」なんです。
ですが、本当に無視しても大丈夫なの?と不安に思う方も多く、当事務所でも相談を受けたことがあります。
ではなぜ無視しても大丈夫なのか、法的根拠をもとに、トライアンフ法律事務所が詳しく解説していきます。
目次
ワンクリック詐欺を無視しても大丈夫なワケ
ワンクリック詐欺をはじめ、インターネットを通じた取引での詐欺被害が後を絶ちません。
そこで、消費者を守る法律として
- 電子消費者契約法(電子消費者契約および電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)
- 特定商取引法
上記2つが存在しています。
ワンクリック詐欺での契約が無効になる理由を、2つの法律をもとに解説します。
電子消費者契約法の特徴
電子消費者契約法では、「消費者の操作ミス」や「契約申し込みの意思確認がなかった」場合において、契約が成立しないとしています。
では、これらがどういった場合のことを指すのか、ご説明します。
消費者の操作ミスでの契約は無効
画面の操作ミスで結んでしまった契約は無効であるという内容です。
インターネット上で結ばれる契約は、事業者側が契約画面を設定し、消費者に同意させるものです。
消費者側が誤って入力してしまうこともあるだけでなく、悪意ある契約内容を結ぶために、事業者側が誤入力しやすいような画面設定することも考えられます。
そのためワンクリック詐欺の手口では、電子消費契約法により契約は無効となります。
事業者側は消費者へ契約内容の確認が必要
消費者と事業者が契約を結ぶ際、事業者側が契約の確認を取らなかった場合、その契約は無効であるという内容です。
上記でご紹介した、消費者の誤入力を防ぐため、事業者側は「本当にこの契約を結んでいいのか」という確認をする必要があるのです。
ワンクリック詐欺では、クリックしただけで契約成立とされ、違法に料金を請求されてしまいますが、電子消費者契約法により契約は無効となります。
特定商取引法の特徴
ボタンやURLのクリックが有料契約になることを明示していない契約は無効であるという内容です。
特定商取引法において、商品の代金や利用料金が請求される場合は、申し込み時に料金が発生することを明示する必要があります。
つまり、ワンクリック詐欺の手口であるクリックしただけでは、契約は成立しないということが言えます。
ワンクリック詐欺では契約は成立しない
電子消費者契約法と特定商取引法により、ワンクリック詐欺は契約として成立していないため、支払い義務はありません。
詐欺業者の手口として、延滞料や違約金などを請求してくることも考えられますが、これらも同様に支払い義務はありません。
よって、ワンクリック詐欺に引っかかってしまい料金を請求されたとしても、無視しても大丈夫だと言えるのです。
ワンクリック詐欺被害の相談先
ワンクリック詐欺の被害に遭ってしまったら、どこに相談すればいいのか迷いますよね。
そこで、ワンクリック詐欺の被害に遭った場合の相談先をご紹介します。
国民生活センターや消費生活センターに相談する
国民生活センターや消費生活センターは、消費者庁が所管する独立行政法人です。
詐欺業者に電話やメールをしてしまった場合や、お金を振り込んでしまった場合は、国民生活センターや消費生活センターに無料で相談することが可能です。
消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターまたは国民生活センターにつながりますので、ぜひご活用ください。
国民生活センター | https://www.kokusen.go.jp/hello/work.html |
消費者ホットライン(電話番号) | 188 |
都道府県警サイバー犯罪窓口に相談する
サイバー犯罪に関する通報・相談後、犯罪の調査を行ってくれる警察の組織です。
インターネットに関する知識が豊富な捜査班が事件の調査などを行い、犯人逮捕に努めてくれます。
お金を振り込みで支払った場合、振り込め詐欺救済法に基づき、犯人が特定できた後、返金を受けることができる可能性もあります。
ワンクリック詐欺の被害に遭ってしまった際は、速やかにサイバー犯罪窓口に相談することをおすすめします。
ワンクリック詐欺の解決を謳った探偵や行政書士に要注意!
インターネット検索で、ワンクリック詐欺の返金について調べていると、ワンクリック詐欺の解決を謳った探偵事務所や行政書士事務所の広告が見受けられます。
そもそも、弁護士資格がない探偵や行政書士では、お金を取り戻すことはできません。
さらに言えば、弁護士資格のない探偵や行政書士などが返金交渉や返金請求などを行うことは、法的に許されていません。
解決できないにも関わらず、高額な相談金や着手金を騙し取る悪質な業者から二次被害に遭うケースが増えていますので、こういった業者には十分ご注意ください。
実際に、警視庁が注意喚起を促していますのであわせてご参照ください。
アダルトサイトなどのワンクリック詐欺や未公開株、出会い系サイトなどによる詐欺被害に遭われた方を対象に、
「請求をやめさせることができます。」
「十分に返金が可能です。」
などと告げて誤解させ、契約を締結する探偵業者が増えています。
「お金を取り戻したい」などという被害者の心理につけ込んだ悪質なものです。
トラブルや苦情が多発しているので、注意してください。
ワンクリック詐欺は無視しても大丈夫!
ワンクリック詐欺に引っかかってしまっても無視していい理由を、法的根拠に基づき解説しました。
電子消費者契約法および特定商取引法という2つの法律に守られているため、ワンクリック詐欺業者からの脅しに怯える必要はありませんので、どうぞご安心ください。
どうしても不安な場合や、金銭的な被害に遭ってしまった場合は、国民生活センターや都道府県警サイバー犯罪窓口など、公的な機関に相談するようにしましょう。
ワンクリック詐欺に引っかかり、焦って詐欺業者へ連絡してしまった場合や支払いをしてしまった場合などの対処法は、こちらのワンクリック詐欺・架空請求の返金方法を弁護士が解説記事で詳しくご紹介していますので、ご参考になれば幸いです。