

チケット・転売詐欺の返金方法について、弁護士の立ち位置からトライアンフ法律事務所が解説していきます。
近年、SNSに関連する消費者被害の相談件数が増えています。
国民生活センターの資料によれば、SNSに関連する相談件数は2016年に1万3564件であったのに対して、2020年には4万4382件とわずか4年で3倍以上に増えている状況です。(出典:SNSをきっかけとした消費者トラブルにあわないために 国民生活センター相談情報部)
そして現在もSNSの利用者数は増え続けており、それに伴う詐欺被害も増加傾向にあります。
そんなSNSに関する消費者被害の相談の筆頭ともいえるのが、チケット・転売による詐欺被害です。
そこでこの記事では、
について解説していきます。
チケット・転売詐欺とは、コンサート・ライブ・スポーツ観戦など、各種イベントのチケットを販売すると持ちかけて代金だけをもらい、チケットは発送しないという詐欺です。
チケット・転売詐欺は主に、SNSやインターネットの掲示板、オークションやフリマアプリを経由して取引を行うことが多いです。
ジャニーズをはじめとする人気グループのライブチケットを転売で手に入れることが多い方は、詐欺被害に遭わないためにも、事前にチケット詐欺の手口を知っておきたいところです。
それでは、チケット・転売詐欺でよくある手口をご紹介します。
チケット代金を入金しても一向にチケットが送られてこないケースは、チケット詐欺の典型例です。
特に、対応が遅れる理由と共に返信が来ていると、その時点で詐欺だと気づけないことがよくあります。
どちらもイベント開催間際、もしくは当日以降になってやっとチケット詐欺の被害に気付くのです。
相手側からチケットが送られてきたものの、そのチケットが偽物だったというケースもよくあります。
また、正規のチケットであっても、チケットそのものが無効になっていたことが発覚するケースも。
偽物のチケットが本物そっくりに作られている場合、すぐに偽物だと気づくことは難しいでしょう。
当日会場で入場を拒否をされ、そこで詐欺が発覚するのです。
この場合、被害者が正規のチケットを購入する機会を失っただけでなく、チケットを購入してから詐欺が発覚するまでの間に犯人が逃亡できる時間をかせげることから、偽物のチケットを送ることはかなり悪質な手口であるといえるでしょう。
チケット・転売詐欺を行う詐欺師には、特徴があります。
取引を行う際、少しでもおかしいな、と感じたら取引しないことを強くおすすめします。
そこで、チケット・転売詐欺に遭わないための注意点をまとめました。
取引をする際、いずれかに該当する場合は十分ご注意ください。
先払いの要求は、高確率で詐欺だと思ってよいと考えられます。
なぜなら、お金だけ受け取ってそのまま逃げることができるからです。
購入者側が指定した支払い方法を拒否する相手や、チケットと代金をその場で交換する対面取引を避ける相手との取引は避けた方が無難でしょう。
SNS経由で取引を行う際、アカウント作成日に注目することもおすすめです。
詐欺師は身バレしないよう、アカウントを作っては削除を繰り返します。
なので、アカウント作成日が最近かつ投稿内容で本人の情報をつかめない場合は要注意です。
チケットを譲る立場の場合、基本的に急ぐ必要はないはずです。
にもかかわらず、支払い方法、取引成立の可否、個人情報の交換を急かしてくる場合は、相手に何かしら問題があることが多いため注意が必要です。
相手側から免許証など公的身分証の写真などの交換をお願いされても、すぐに応じないようにしましょう。
仮に相手から送られてきたとしても、写真に加工が施されていたり、他人の身分証の可能性もあります。
また、万が一詐欺師相手に身分証を送ってしまった場合、詐欺師の身分証として悪用されてしまうケースもあります。
そのため、個人情報の取り扱いには十分注意してください。
詐欺師はあの手この手で相手を騙そうとします。上記以外の方法でもチケット詐欺を行うことは十分に考えられるため、基本的に匿名アカウント経由の購入は避けた方が無難でしょう。
行きたいイベントのチケットを探す際、Twitterを利用する方は多いのではないでしょうか。
Twitter上で、気軽にチケット譲渡取引を行えることからチケット・転売詐欺被害が急増しているのです。
もちろん、善意で譲りたいと思っている一般ユーザーの方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実際にTwitter上で「チケット詐欺」と検索をかけると、被害に遭った方のツイートが毎日のように出てきます。
公式サイトから手に入れることができなかったイベントチケットは、高いお金を払ってでも手に入れたい気持ちは十分理解できますが、詐欺行為が横行しているTwitter上での取引は避けた方がよいでしょう。
チケット・転売詐欺の被害に遭ったら、まずは警察に相談することをおすすめします。
特に、複数の人が同じチケット被害に遭っている場合は、警察がすでに捜査へ着手している可能性があります。
そのため、チケット詐欺の被害に遭った場合は、速やかに警察へ相談し、被害届を提出してください。
以前は、チケット詐欺師の特定が難しかったり、チケット詐欺の被害額が小さかったりなど、被害に遭ったことを警察に相談しても積極的に動いてくれないという声もSNS上では見受けられました。
ですが近年では、チケット・転売詐欺が大きな社会問題になっていることもあり、実際に犯人が逮捕された事例が増えてきています。
チケット詐欺被害に遭ってしまった場合には、まずは一度警察へ相談してみるとよいでしょう。
では実際に、チケット・転売詐欺の逮捕事例を下記でご紹介いたします。
チケットを譲り渡すと嘘の情報を流し現金をだまし取るチケット詐欺の事案や、チケットを転売目的で取得し高額な値段で転売した転売詐欺の事案で、数多くの逮捕者が出ています。
それでは、チケット・転売詐欺被害における逮捕事例をご紹介します。
近年では、チケット詐欺を行った犯人が逮捕される事例がいくつも発生しています。
上記でご紹介したチケット詐欺における逮捕事例はほんの一部であり、まだまだたくさんの逮捕事例があります。
チケット詐欺被害に遭った方が警察へ相談し、警察がチケット詐欺被害を事件として扱い、対応していることがうかがえます。
上記でご紹介したものは、チケットを譲り渡すと嘘の情報を流し現金をだまし取るチケット詐欺での逮捕事例ですが、こちらではチケットを転売目的で取得し高額な値段で転売した転売詐欺での逮捕事例もご紹介します。
2017年9月22日、「サカナクション」のコンサートの電子チケットを転売目的で取得したなどとして詐欺罪に問われた男に対し、神戸地裁が懲役2年6か月、執行猶予4年(求刑・懲役2年6か月)を言い渡したとの報道がありました。
この事件の判決は、2つの点で非常に画期的なものと言えます。
まず一点目は、従来犯罪行為としてとらえられていなかった行為を犯罪行為として捉え、有罪とすることができたという点。
二点目は、2年6か月の求刑に対し求刑通り懲役2年6か月、執行猶予4年という比較的重い判決が下されたという点です。
この事件は、昨今大きな社会問題になっているチケット高額転売問題のターニングポイントとなる判決となりました。
近年では、高額転売を目的としたチケット転売の逮捕者も続出しており、世の中的には大きな抑止力になっているのではないかと考えられます。
それでもなお減らないチケット・転売詐欺を撲滅するためには、公式サイト以外からチケットを購入しないことを消費者が徹底するほかありません。
高いお金を払ってでもチケットを手に入れたい気持ちも理解できますが、詐欺被害に遭ってからでは遅いのです。
チケット詐欺被害に遭った場合、支払ってしまった代金の返金解決は困難なケースが多いです。
ではなぜ困難なのか、その理由をご説明します。
SNSを中心に匿名で行われているチケット・転売詐欺では、犯人が匿名アカウントを使用しており身元が分からないケースが非常に多いです。
匿名アカウントの開示請求を行うことも可能ですが、チケット詐欺被害額以上に金額がかかってしまう可能性があります。
仮に犯人が見つかり逮捕につながったとしても、犯人に返済能力がなければ返金されることはありません。
チケット詐欺被害での返金の可能性を高めるためには、一刻も早く犯人の身元を特定することが重要です。
チケット詐欺師は、組織的な詐欺集団ではなく個人で詐欺行為を行っている場合もあります。
詐欺に気付いた時すぐに、相手(詐欺師)に「警察に被害届を提出します」と連絡したところ、犯人から返金があったというケースも見られました。
もしチケット詐欺の被害に気が付いたら、速やかに警察へ被害届を提出してください。
チケット・転売詐欺の被害に遭わないためにできることは、公式サイト以外からチケット購入しないこと。
チケットを手に入れることができなかった大好きなアーティストのライブやイベント、スポーツ観戦などは高いお金を払ってでも見たい気持ちも十分理解できます。
もちろん善意でゆずってくださる一般の方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、そんなファン心理を悪用して詐欺行為を働くものがいることも事実です。
万が一チケットを譲ってもらうことがあった場合でも、信頼できる友人や知人、身元がしっかり判明している方から譲ってもらうなど、細心の注意を払うようにしましょう。
チケット・転売詐欺の被害については、警察や国民生活センターが相談を受け付けています。
チケット・転売詐欺の被害に遭ってしまった場合には、速やかに警察や国民生活センター窓口へご相談ください。